ギランバレー症候群は患者数が少ないこともあり、症状や予後、後遺症などについて知識がないという人も多いでしょう。そこで今回はギランバレー症候群について、概要や治療方法のほか、主な症状や後遺症・再発率についても詳しく解説します。リハビリの重要性や注意点などもあわせて解説するため、ぜひ参考にしてもしものときに備えてください。
ギランバレー症候群とは？後遺症は残る？
ギランバレー症候群とは、末梢神経の障害のひとつです。ここでは、ギランバレー症候群の概要や症状、後遺症などについて詳しく解説します。ギランバレー症候群の概要
ギランバレー症候群は、自分自身の末梢神経を攻撃してしまう病気です。原因は細菌・ウイルスによる感染症にあります。免疫システムが正常に機能せずに自身の末梢神経を攻撃してしまうことで炎症が起き、神経を覆う部分や神経線維自体が損傷されます。ギランバレー症候群は年齢・性別に関係なく患う可能性がある病気です。発症の1か月前に感染症の症状として、風邪や下痢などが確認されます。その後ギランバレー症候群を発症した際にみられる症状は、手足のしびれや筋力の低下、痛み、感覚異常などです。
さらに病状が進行すると、顔の筋肉や目の周囲の筋肉の麻痺、発声や飲み込みに使われる筋肉の麻痺のほか、呼吸にかかわる筋肉の麻痺や不整脈、発汗異常などが起こります。
症状は1〜2週間ほどで急速に進行しますが、1か月以内でピークを超えてその後は自然に回復するケースが多いです。ギランバレー症候群の日本国内での発症率は、年間で10万人に1〜2人と非常に少ないのも特徴です。
ギランバレー症候群の治療方法
ギランバレー症候群は自分自身の末梢神経を攻撃してしまう病気であるため、治療では免疫の調整を行います。免疫グロブリンと呼ばれる血液製剤を5日間投与したり、血液内の悪質な物質を取り除いて体内に戻す血液浄化療法を行ったりするのが一般的です。呼吸にかかわる筋肉に麻痺が起きている場合は、人工呼吸器を使用するケースもあります。加えて、血栓症・感染を防ぐための対応も求められます。
ギランバレー症候群の後遺症について
先述の通り、ギランバレー症候群の症状は発症から1か月以内にピークを迎え、その後は自然に症状がなくなることが多いです。しかし、全体の2割程度の患者は1年後にも運動機能を中心とした後遺症が残っています。後遺症が残りやすいケースとして挙げられるのは、ギランバレー症候群発症時の手足の筋力低下・麻痺が重症であった場合や、50歳以上の年齢で発症した場合、カンピロバクターによる感染症を原因として発症した場合などです。
ギランバレー症候群が再発する可能性について
ギランバレー症候群の患者の多くは予後が良好である一方、患者によっては後遺症が残ったり、再発したりするケースもあります。予後は発症時の重症度や患者の年齢や基礎疾患の有無、治療内容や治療への反応によっても異なりますが、2〜5%の患者に再発がみられます。再発時も治療内容はとくに変わらず、1度目のギランバレー症候群発症時と同じように免疫グロブリンの投与や血液浄化療法を行うのが通常です。
後遺症になったら長期的なリハビリが必要
ギランバレー症候群を発症した際は、投薬治療のほかにリハビリも重要です。ここでは、ギランバレー症候群発症時のリハビリについて詳しく解説します。ギランバレー症候群は長期的なリハビリが求められる
ギランバレー症候群の後遺症は運動機能が中心となるため、リハビリを続けることで機能回復を目指します。内容は症状や重症度によっても異なりますが、筋力を戻すことを目的としたリハビリや、発声・飲み込みの訓練などが一般的です。また、麻痺が進行している段階から適切なリハビリを実施することで、合併症を防ぐ効果も期待できます。
専門家指導のもとで正しいリハビリを行うことが重要
ギランバレー症候群のリハビリにおいては、訓練時間とその内容の調整が不可欠です。神経が働きすぎている状態を招くためやりすぎは禁物であり、実際に過度なリハビリによって逆に筋力の低下を招いてしまった事例も報告されています。患者の年齢や症状はもちろん、就労状況や生活環境などから総合的に判断してリハビリ内容を検討することが求められます。各種疾患やリハビリについての専門知識を備えたプロのもと、適切なリバビリを行うことが重要です。
