近年、保険の制約を受けない自費リハビリを提供する施設が急増しています。高齢化社会の進展を背景に、期間や回数に制限なく、ひとりひとりのニーズに応じたオーダーメイドのリハビリが受けられるサービスとして注目されています。本記事では、自費リハビリの基本から保険適用との違いまで詳しく解説します。
自費リハビリ提供施設が増加している背景・理由
自費リハビリ提供施設が増加している背景には、複数の社会的要因が複雑に絡み合っています。最も大きな要因は日本の急速な高齢化です。2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、リハビリテーションを必要とする人口が大幅に増加することが予測されています。しかし、保険適用のリハビリには疾患によって90日から180日という期限が設けられており、決められた期間内で十分な機能回復が得られない患者が多く存在します。結果として、保険期限終了後も継続的なリハビリを希望する人々のニーズが高まっています。
また、理学療法士や作業療法士の養成校が増加し、有資格者数が急速に増えている現状も施設増加の一因です。2000年には約28,000人だった理学療法士は、2022年には約13万人を超えており、前の専門職が新たな活躍の場を求めて自費リハビリ分野に参入しています。
さらに、経済産業省は健康寿命の延伸を目指し、フィットネス事業者のリハビリテーション分野への参入を積極的に推進しています。これは医療費削減と健康産業の育成を同時に実現する政策として位置づけられています。
加えて、利用者側の意識変化も重要な要因です。健康への投資意識が高まり、質の高いサービスに対して適正な対価を支払うことへの抵抗感が薄れてきています。とくに都市部では、マンツーマンでの手厚いケアや最新機器を使用した効果的なリハビリを求める層が増加しています。
公益社団法人日本医師会の調査でも、医療機関の新たな収入源として自費リハビリサービスの導入が注目されており、今後もこの傾向は続くと予測されています。
介護保険外リハビリ(自費リハビリ)とは
介護保険外リハビリ(自費リハビリ)とは、医療保険や介護保険を使用せず、利用者が費用を全額自己負担で受けるリハビリテーションサービスです。保険適用のリハビリでは、費用負担は1割から3割で済む一方、疾患別に定められた期間制限があり、心大血管疾患や運動器疾患は150日、脳血管疾患等は180日、呼吸器疾患は90日と決められています。対して、自費リハビリには期間や回数の制限が一切なく、利用者が望む限り継続してサービスを受けられます。提供施設は多岐にわたり、医療機関が保険外サービスとして実施するケース、独立した自費リハビリ専門施設、訪問看護ステーションの保険外サービス、フィットネスクラブやパーソナルトレーニングジムがあります。
サービス内容も施設によって特色があり、脳血管疾患後遺症に特化した施設、整形外科疾患専門の施設、スポーツリハビリを得意とする施設など、それぞれが独自の強みをもっています。担当するスタッフは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった国家資格保有者が中心となり、1対1のマンツーマン指導が基本です。
利用者の希望や目標に応じて、歩行訓練、筋力強化、関節可動域改善、日常生活動作訓練、言語訓練など、幅広いプログラムから最適なものを選択し、オーダーメイドのリハビリプランを作成します。料金は1時間あたり8,000円から10,000円が相場となっており、施設の立地や設備、スタッフの専門性によって価格に幅があります。
保険制度の枠組みにとらわれない柔軟なサービス提供が可能なため、利用者の細かなニーズに対応できる点が大きな特徴です。
公的な訪問リハビリや保険適用とは何が違うのか
自費リハビリと公的な訪問リハビリや保険適用リハビリには、サービス提供の枠組みに大きな違いがあります。まず費用面では、保険適用リハビリは1割から3割の自己負担で済むのに対し、自費リハビリは全額自己負担となります。期間制限も大きな相違点で、保険適用では疾患別に最大180日という上限が設定されていますが、自費リハビリには一切の期間制限がありません。
サービス内容の決定方法にも違いがあり、保険適用リハビリは医師の指示書に基づいて実施されるため、リハビリ内容に一定の制約があります。
一方、自費リハビリは利用者の希望を最優先に、柔軟にプログラムを組むことが可能です。時間配分も異なり、保険適用の訪問リハビリは1回40分から60分程度と定められていますが、自費リハビリは60分、90分、120分といった利用者のニーズに応じて設定できます。担当者の選択においても、保険適用では施設側が決定しますが、自費リハビリでは利用者が希望するセラピストを指名できる場合が多くあります。
さらに、保険適用リハビリでは複数の利用者を同時に担当する集団リハビリもありますが、自費リハビリは完全マンツーマンでの実施が基本です。
医療機関との連携についても、保険適用は医療機関からの情報提供が前提となりますが、自費リハビリは必ずしも医療機関との連携が確立されていない場合があるため、利用時には注意が必要です。