年を重ねるごとに体力が落ちてしまうことは仕方のないことですが、一番怖いのはつまずきやすくなり、転倒してしまう頻度が増えてしまうことです。しかし、意識的に筋力アップを心がけることで、健康な身体づくりが可能となり、元気な日々を送ることができます。
今回は、高齢者向けの筋力トレーニング方法をいくつか紹介していきます。
高齢者でも筋力は向上できるのか?
高齢者でも筋力を向上させることはできるのかと不安に思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、適切なトレーニングを行うことで、高齢者でも筋肉を増やすことができます。トレーニングを行うことで高齢者でも筋肉は増やせる
高齢者であっても、トレーニングを積み重ねることで筋肉を増やすことができます。トレーニング頻度としては、週に2回ほどが理想で、筋力トレーニングを継続して行うことで筋肉量を増やせるのです。そのため、毎日ではないですが、週2回ほどは筋力トレーニングを行うことが必要になります。
有酸素運動も交える
高齢者が筋肉をアップさせるには、筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせることが大切です。年を重ねるごとに、筋肉づくりの源となる、骨格筋や心筋、平滑筋などの筋肉組織を構成する筋タンパク質の合成を促すホルモンの働きが弱くなります。有酸素運動は、ホルモンの働きを高める作用があるため、筋力トレーニングと組み合わせることでより効率的に筋肉を増やせるのです。しかし有酸素運動だけでは、筋肉を増やせる量が少ないため、片方だけのトレーニングではなかなか結果に表れにくいでしょう。
そのため、ホルモンの働きを高めることで筋肉をつきやすくする有酸素運動と、筋肉を増やすための筋力トレーニングを程よく取り入れることが、高齢者が筋肉量を向上させるポイントです。
具体的なトレーニング方法
実際には、どのような筋力トレーニングを行うべきなのでしょうか。高齢者におすすめなのは、とくに下半身を鍛えることです。ここでは、高齢者が筋肉を増やすために最適な筋力トレーニング方法をいくつか紹介します。特別な機械などは不要な、自宅でできるトレーニング方法です。
スクワット
おすすめなトレーニング方法のひとつめは、スクワットです。スクワットは、下半身を鍛えるトレーニングとして一般的な方法となり、太ももやお尻などの筋肉を鍛えられます。やり方としては、両足を肩幅に開き、3秒から4秒ほどかけてゆっくり膝を曲げ、膝が直角になるまで腰をおとしていきます。そして3秒から4秒ほどかけて、ゆっくり膝を伸ばして、元の体勢に戻します。
またスクワットを行うときは、膝への負担がかからないように、お尻を後ろに突き出すようなイメージで、股関節をしっかり曲げることが重要です。バランスが保てなさそうなときには、実際に椅子を使って、座り、立つ動作を繰り返し行うことでも、スクワットのトレーニングになります。
プッシュアップ
おすすめなトレーニング方法の2つめは、プッシュアップです。プッシュアップは、腕立て伏せのことで、二の腕や胸の筋肉である大胸筋を中心に鍛えるトレーニングになります。しかし、一般的なプッシュアップは負荷がかかりすぎてしまう可能性もあるため、膝をついた状態で行っていきましょう。やり方としては、床に手をつき、頭から膝までをまっすぐに保ち、ゆっくりと肘の曲げ伸ばしを行います。
肘は伸ばしきらず、少し曲げたところで止めることが大切です。両手は、肩幅よりやや広めが基本となりますが、手の幅を変えることで、負荷を調整しながらトレーニングすることもできます。
上記の方法でもつらい場合には、立った状態で壁に手をつけて行う方法もおすすめです。
ブリッジ
おすすめなトレーニング方法の3つめは、ブリッジです。ブリッジは、太ももの裏側やお尻、背中などを鍛えられるトレーニングになります。やり方としては、仰向けになり、寝た状態で膝を曲げて、ゆっくりとお尻を持ち上げていきます。腰に力を入れて10秒間静止して、ゆっくりとお尻をおろしていく方法です。
お尻をおろしていくときには、お尻が床につかないように停止するとより効果的です。
かかと上げ
おすすすめなトレーニング方法の4つめは、かかと上げです。かかと上げは、ふくらはぎや足の裏、お尻の筋肉を鍛えられるトレーニングで、リハビリにも使われています。やり方としては、肩幅に足を開いて立ち、膝を伸ばした状態で、かかとを上げます。5秒ほど静止してから、かかとを床につけないようにゆっくりとおろし、この動きを繰り返し行います。
バランスが安定しない場合には、椅子や壁に手を置いた状態でトレーニングを行いましょう。
足上げ
おすすめなトレーニング方法の5つめは、足上げです。足上げのやり方は、仰向けに寝て、膝を伸ばしたまま片足を持ち上げていきます。10秒ほど止まり、かかとは床につけずにゆっくりおろす動きを繰り返し、左右交互に行っていきます。そして横向きに寝て、足を上げる動きも同時に行うことで、よりバランスよく鍛えることができます。
トレーニングを行うときのポイント
上記で紹介したような筋力トレーニングを行うときには、より効果が高まる方法でトレーニングを行いたいものです。そのため、ここでは高齢者が筋肉をつけるうえで留意してほしい点をくつか紹介します。トレーニングはゆっくり行う
トレーニングを行うときには、ゆっくりと行うことが大切です。3秒から5秒ほどかけて動作を上げて、おろすときも3秒から5秒ほどかけて行いましょう。一般的には、機械などを使わずに自分の体重を負荷とするようなトレーニングは効果を高めにくいとされていますが、勢いをつけて行うのではなく、ゆっくりと動作を行うことで、軽めの運動量でも筋肉を鍛えることができます。逆に、負荷が大きいトレーニングは腰や膝への負担となりやすいため、注意が必要です。
そのため、高齢者はほどよい疲労感を感じるトレーニングをゆっくりと丁寧に行っていくことがおすすめです。
鍛えたいところを意識して行う
鍛えたい身体の箇所を明確にし、トレーニングを行うときにはその鍛えたい筋肉を意識しながら行うことがおすすめです。鍛えたい筋肉を意識して、力を入れ続けることで血管が圧迫されて、血流が一時的に悪化します。しかしこの状態は、筋肉に強い刺激を与えることができ、筋肉の成長を促進できるのです。トレーニングの動作中には、力を入れ続けることで筋肉の緊張をキープできるように意識すると、より効果的に筋肉を付けることができます。
トレーニングは午後に行う
トレーニングを行う時間として、おすすめなのは午後の時間帯です。筋肉の動きや体温はお昼頃から夕方にかけてアップするといわれています。そのため、午前中よりも午後の時間帯にトレーニングを行うことで身体の機能が向上した状態で運動に取り組めます。また午後の時間帯のトレーニングは、寝るときに行われる筋肉の回復にもよい効果があるのです。
ウォーキングも取り入れる
先ほどもお伝えしたように、筋力トレーニングに有酸素運動を組み合わせることがおすすめです。とくに高齢者に最適で、一番簡単にできる有酸素運動としては、ウォーキングがあげられます。ウォーキングの方法としては、早歩きとゆっくり歩きを数分おきに繰り返すのがおすすめです。早歩きは、ややきついと感じる程度が目安となり、筋肉を増やすだけではなく、スタミナのアップにもつながります。
またウォーキングであれば、わざわざウォーキングの時間を作らなくても、日常生活の中に取り入れることができます。たとえば、買い物に行くときには歩いていくことや一駅分歩くなど、毎日の生活の中に意識してウォーキングを取り入れることで、自然と有酸素運動を取り入れることができます。
万歩計なども用いながら、今よりも1,500歩ほど多く歩くなどの目標を掲げて実践してみるとよいでしょう。
トレーニングを行うときに配慮する点
高齢者がトレーニングを行うときには、急激な筋力トレーニングはあまりおすすめできません。すでに体力が落ちてしまっているときもあるため、ここで紹介する注意点に気をつけながら取り組んでいくことがおすすめです。ここでは、大きく3つの注意点を紹介します。
痛みが悪化しない範囲で行う
筋力トレーニングは、腰痛や膝痛の改善にも最適ですが、無理のしすぎには注意が必要です。無理をしてしまうと、関節に負担がかかり、逆効果になってしまいます。そのため、トレーニングを行うときには痛みや違和感がある場合には、無理をせず、その痛みが悪化しない範囲で行っていきましょう。トレーニング時の姿勢も崩さないように正しく保ちながら行うことが大切です。
トレーニングの回数においても、ほどよい疲労感を感じる程度にとどめ、無理をしないようにしましょう。そしてトレーニングの前後には、しっかりとストレッチを行い、筋肉をほぐしてから始めることがおすすめです。
筋肉の柔軟性も重要であり、関節の負担を軽減しながら最適なトレーニングを行っていきましょう。
空腹時は避ける
トレーニングを行うときには、空腹時は避けましょう。空腹時にトレーニングを行ってしまうと、エネルギー不足となり、筋肉が分解されてしまう可能性があります。そのため、トレーニングを行う2時間から3時間前までに食事を済ませておくことがベストです。そしてトレーニング前には、スポーツドリンクなどで軽くエネルギー補給を行っておくと、よりよいでしょう。
生活の中でのエネルギー代謝を増やす
筋力トレーニングや有酸素運動を行うことが厳しいという方には、日常生活の中でのエネルギー代謝を増やすことがおすすめです。厚生労働省の発表によると、高齢者におすすめな身体活動量は1日40分以上が目安とされています。この身体活動量は、トレーニングなどのエネルギー消費量だけではなく、日常生活の動きも含まれているのです。そのため、日常生活の中で身体を動かすことすべてが含まれることになります。
生活の中で活動量を増やす例もいくつか紹介します。強度が高めの生活行動としては、先ほども紹介していた歩くことです。
犬を飼っている方であれば、犬の散歩もよいですし、家事のひとつの床掃除や掃き掃除、モップ掛け、自転車に乗ること、階段の上り下り、庭の草むしりなどです。一方、体力があまりない方向けの生活行動事例もあります。
お皿洗いや洗濯、ゆっくりと歩く、ガーデニング、動物の世話などが挙げられます。ここで挙げた事例のほかにも、さまざまな運動がありますが、自身の身体や体力に無理のない範囲で、少しずつ日常生活の中に取り入れることで、身体活動量を高められます。
実践できそうなことから、日常生活の中に取り入れてみることがおすすめです。
トレーニングとともに食生活も見直す
高齢者が筋肉を付けるためには、トレーニングももちろん大切ですが、食事にも気をつけることでより筋肉を増やすことができます。筋肉づくりにおすすめの食事のポイントを紹介します。タンパク質を摂取する
筋肉をつけるためには、タンパク質を摂取することが大切です。タンパク質は、体内でアミノ酸に分解されて、筋肉づくりの材料になります。そのため、筋力トレーニングにあわせて、タンパク質を摂取することでより効率的に、筋肉を増やせるチャンスが高まります。いろいろな食べ物にタンパク質は含まれていますが、一番おすすめなのは魚肉たんぱくです。
魚肉たんぱくは、アミノ酸のバランスがよいことや消化性に優れていること、低脂肪であることが特徴です。そのため、魚肉たんぱくであれば、質の高いタンパク質を補えます。
サプリメントもおすすめ
タンパク質を摂取するときに、普段の食事だけでは摂取しきれないということもあると思います。そんなときは、サプリメントの活用もおすすめです。とくにおすすめのサプリメントは、ペプチド状のものです。ペプチドは、タンパク質が消化酵素で分解され、数個のアミノ酸がまとまった状態のことで、通常のタンパク質よりも速く吸収され、消化の負担も少ない点が特徴となっています。
肉や魚からタンパク質を摂取しようと思うと、吸収までに3時間から4時間ほどかかるのに対し、ペプチド状のサプリメントであれば、30分から40分ほどで体内に取り込めるのです。なかでも、魚肉ペプチドがおすすめで、20種類すべてのアミノ酸をバランスよく含み、体内では合成できない必須アミノ酸なども理想的な比率で含んでいるといわれています。
サプリメントも活用しながら、より効率的に短時間でタンパク質を吸収してみることもおすすめです。
まとめ
今回は、高齢者向けの筋力トレーニング方法や、より効率的に筋肉を増やす方法、注意点などを紹介してきました。高齢者になっても、筋力を向上させることは可能であり、筋肉をつけることで、転倒の予防や腰痛、関節痛の予防など毎日を健康に過ごすことにつながります。今回紹介した注意点や、可能であれば食事にも気をつけながら無理のないトレーニングを継続してみることをおすすめします。